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読書三昧10 [本]

先日、第135回直木賞並びに芥川賞が発表されました。
偶然にも、今回直木賞に輝いたニ作品を少し前に読んでおり、
森絵都さん、三浦しをんさんとも好きな作家でしたので、驚きと共に嬉しくなりました。
尚、芥川賞を受賞された伊藤たかみさんの作品は未読ですが、
機会があれば是非読んでみたいと思います。
奥様が直木賞作家の角田光代さんというのも、驚きました。
受賞者の皆様、おめでとうございます。

各賞の詳しい内容は、文藝春秋さんのHPでご紹介されています。

○『風に舞いあがるビニールシート』森絵都著
今までの森さんの著作と本の装丁、そして前作『いつかパラソルの下で』の内容から、
勝手に、「親子関係や恋人関係を軸とした、愛情溢れる作品」を想像していました。
しかし、全くそうではないとも言えませんが、もっと奥深く、人間の深層心理に分け入るような、
曖昧さを残さず核心に触れるような、鋭い短編集でした。
児童文学出身という森さんのプロフィールに囚われると、戸惑いがあるかもしれません。
特に表題作「風に舞いあがるビニールシート」は、国連機関で働く女性が主人公なだけに、
普段目を逸らしてしまいがちな途上国の現状が、ある種残酷とも言える手法で、
しかし決して冷酷さを感じさせずに、描かれています。
読者は否が応でも、その事実を知り得、興味を惹かれてしまいます。
読了後の何とも言えない気持ちは、後味の悪さに似ているようでしたが、
しかし確かに爽快感があり、不思議な錯覚に陥ってしまいました。

風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 単行本

○『まほろ駅前多田便利軒』三浦しをん著
都内のどこかにある「まほろ市」という、架空の街を舞台に、
便利屋という不確かな職業に就く、ぶっきらぼうだけど本当は心優しい多田と、
多田の事務所に転がり込んできた、奇妙だけど頭の冴える無職男・行天の、
人情に溢れながらもどこかずれている、勧善懲悪の連作集です。
小さな町でも様々な事件が起こり、巻き込まれる人々も、子供であったり女子高生であったり。
「なんて治安の悪い町…」と思わずにいられませんが、
そんな中にこそ、人々の真の思いや人情が溢れ、明るさや楽しさが生まれています。
登場する人々の心に触れると、「思いやり」という言葉の意味を、考えずにいられなくなります。
気が付けば、多田と行天の生活に馴染んでいる自分がいました。
是非この二人が再度活躍する、続編を期待します。

まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 単行本

○『東京バンドワゴン』小路幸也著
不思議なタイトルですが、作品の舞台となる古本屋さんの店名です。
登場する人物は、古本屋の主人、その息子、その子供と配偶者たち、
更にその子供たち、そして近所の愉快な人々、
しかも語り手は、古本屋主人の亡き妻という、ひと昔前のホームドラマのような設定です。
この古本屋一家が、とにかく個性的な人たちばかりで、
実際に自分の家族だったら疲れそうなものの、こうして見ると変に羨ましさがあります。
コメディタッチで描かれていますが、家族の大切さという基本を教えてくれる、素敵な物語です。
普段テレビドラマは見ないのですが、これは是非ドラマ化して欲しい!と思いました。

東京バンドワゴン

東京バンドワゴン

  • 作者: 小路 幸也
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本


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